「気付いてたんだね。でも、勘違いだったみたい」

『勘違い?』

「今までずっとお城で生活してきたから、ソルみたいなタイプは珍しかったんだと思うの。勿論友達としては今でも大好きよ」



納得したような顔をして飲み物を口に運ぶサハルド。


全てを否定したら、サハルドには嘘だとばれてしまうような気がした。


本当は今でも大好き。


友達としてじゃなくて、1人の男性として。



「明日、リリアさんに話をするわ」

『何て?』

「急で申し訳ないけど、家の都合で働けなくなってしまったと」

『そう、分かった』



サハルドのちょっとした表情の違いが分かるようになったのはいつからだろう。


今もあまり表情は変わっていないが、どこかほっとしたような顔をしている。



「今まで付き合ってくれて本当にありがとうね。サハルドのお陰で勉強にもなったし、楽しかったわ」

『最初は俺も面倒臭かったけど、勉強になったよ。ありがとな』



私が笑って御礼を言うと、サハルドも笑い返してくれた。


そして、私はサハルドの部屋を後にした。