月夜の太陽

「私はここで死ぬのだと思った。でも、その時はそれでもいいと思った…ローズと会えるって思ったから……」

「アリア…」



アリアさんにとってお母様はとても大切で大きな存在だったのね。



「覚悟を決めて目を閉じていたら、ドサッドサッって人が倒れる音がして思わず目を開けると、月明かりに照らされ人形の様に綺麗な男性が立っていた」

「それじゃあ賊には何もされなかったのね?」

「えぇ」

「そう、良かった…」



何も無かったと聞きお母様は安堵のため息を漏らした。


私と同じようにお母様も最悪な事態を想定していたんだろう。



「山小屋を出ていこうとする彼のコートの裾を掴んでしまったの。何故たが急に力が抜けて涙が溢れ出てきてしまった…。そんな私を彼は何も言わずに抱きしめてくれた」



話していくうちにどんどん昔の事を思い出しているのか、アリアさんはまた涙を流しているようだ。