月夜の太陽

「本当は断りたかったけど、父の気持ちも分かっていたから断るに断れなかった。だけど、その時の私には相談出来る相手もいなくて、どうしていいのか分からず主人と会う前の晩にお城を飛び出したの」

「リリアには話せなかったの?」

「その頃はもうリリアはお城にはいなかったの。ご両親が亡くなられて、お店を継ぐために女官長を退任していたから」



リリアさんがデトイス国で女官長を務めていたなんて…。


そう言われてみればあの動きの切れのよさと、洞察力は普通じゃあり得ないかもしれない。


誰かに似ているような気がしてたけど、たぶんカナリアと似ているんだわ。



「お城を飛び出したのはいいけど、全く道が分からなくて森の中ですぐに迷子になったわ。そこで賊に見付かって使われていない様な山小屋に連れ込まれた」

「…えぇ」