『ウェルヴィア一…いや、この世界で一番優れた治癒能力をお持ちのローズ様が彼の手当てをされたようです』

「お母…様が!?」

『えぇ。ローズ様は伺っていたよりも色んな方との交流があるようで本当に驚きました』



お母様からはそんな話聞いていない…。


どうして何も言ってくれなかったの!?


どうして……。



『ルナ様、私の婚約者になって頂けませんか?』

「…婚約者ですって!?ふざけているんですか!?」

『いいえ、私は本気ですよ。以前よりずっと貴女様をお慕いしておりました』



この人は何を言っているの?


どうしてこんな事に…なってしまったの?



『お返事は直ぐにとは申しません。一月身辺整理も含めゆっくりお考え下さい』

「………………」



身辺整理…。


断るという選択肢はないと言いたいのね。


私が断ればまた…ソルが襲われる……。



『私は食事の席に戻ります。ルナ様はいかが致しますか?』

「………………」

『分かりました。皆さんには体調がすぐれないようだと言っておきます。それでは』



笑顔で部屋を出ていったロナウド様。


私は真っ白になった頭で愕然とロナウド様が出ていったドアを見つめる事しかできなかった。