「ソル、もうどこも怪我はしていないのかい?」

『あぁ、ローズ様が治してくれた』

「あのお方の治癒能力は国一番だからね」



そう言って笑う母さんはまるで子供の話をするような顔をしていた。


俺たちが知らなかっただけで、ローズ様とは親しい間柄なんだろうと思った。



「なんて素敵な方なんだろ…惚れ惚れするくらい綺麗で素敵な方……」

『ローズ様は滅多に民衆の前には姿を見せないから、こんなに近くでお会いできたなんて夢のようだね』

「うん!!」



エレナは顔がうっとりしている。


女にとっては憧れの存在だからな。




それにしても、奴らはたぶんまたくるだろう。


俺の秘密と関係しているのかもしれない。


このままこの家にいてもいいのだろうか…出て行くべきなのではないだろうか……。



「ソル、変な事を考えるんじゃないよ」

『…あぁ』



母さんには俺の考えはお見通しのようだ。


もう少し、様子を見ることにしよう。