「あー・・・。空。」



「んー?なに?」



「あのさ。黒狼の新しい総長って知ってる?」



いきなり「黒狼」の名が理沙の口から出てきて、あたしは「へ?」と聞き返してしまった。




「だーかーら。新しい総長。なんでも、女の子らしいよ。」



「「はぁ????」」






龍樹と声がハモった。




てか、女の子ぉ!?



ありえんっ!てか、ダメだろ!



「ま、ただの噂だからさ。気にしなくてもいいんじゃない?」



「いやいやいや!気にするでしょうよ!?女の子でしょ?危なくない?」




はぁ、とため息をつく理沙。



「言っておくけど、あなたも総長で女の子だったからね?」




「あ、そうだった」



「忘れてたのかよ!」



勢い良く龍樹につっこまれた。





「あははは・・・。はぁ。」




「ねっ。本当に女の子か気にならない?」



「「なるっ!」」







「真似するなよ」




「お前こそ」




あたしは龍樹をにらみつつ、理沙の方に視線を戻した。




「で、どうやって?」




「え?そんなのたまり場に行けばいいじゃない。元総長なんだからいけるでしょう?」




「えぇーー・・・・。行きにくいわぁ。」




「どこで乙女出してんだよ。お前は。」




あたしは無言で龍樹の頭を殴った。





「いっっっっだぁっ!!!!!!」




「あぁ、ごめん。手が滑った」





あたしはよっ、と言って立ち上がり、




「まぁ、また行こうね。じゃ、あたしそろそろ教室もどるわ。」





二人に手を振り、あたしは屋上をあとにした。