「なんかムカついた。ただそれだけ。」

ふんっ、とあたしはそっぽをむいた。


「確かに。なんか今のはムカついた。」

理沙も、龍樹の前に行き、

「悪霊退散!」

と、わけのわからないことを言いながら龍樹にデコピンをした。



「いっだっ!!」

さらに涙目になる龍樹。


すると・・・


「青春だな。お前ら」


ばっ、と後ろを振り返れば


「なんだ。響ちゃんかよ」

響ちゃんこと、臼井響矢先生がいた。


「響ちゃん・・・今の聞いてたの?」

さっ、と身構える理沙。


龍樹も、身構える。


「あー。二人とも。警戒しなくていいよ。この人、黒狼の三代目総長だから」


「「はぁああ!?!?」」


「あり?言ってなかった?」

というか、龍樹も知らないとは意外だ・・・。

「空・・・それ言っちゃダメなことだぞ。」

苦笑いの響ちゃん。

なんかごめんなさい。


「え!?臼井先生が、三代目黒狼の総長!?ひあぁあっ!」


わけのわからない奇声をあげて興奮している理沙。

大丈夫?この子。

龍樹はというと、口をぽかーんとあけて、響ちゃんをみている。

「てか、響ちゃん。趣味悪いね。」

「はは・・・やっぱばれてた?」

てへっ、と笑う姿は、30すぎには見えない。

「・・・え?まさか・・・最初からいたんですか?」

おそるおそる、といった感じで理沙が聞いた。

「あら?理沙ちゃん気づいてなかったの?おじさんもまだやれるねぇ」


あごひげをさする響ちゃん。