真がジュースを飲みながら先生に色々聞いている。




「センセはこのへんに住んでるんですか?」



「そうだよ。

駅の裏手にマンション。あれに住んでるよ。」



そう言いながら



先生はコーヒーを口にする。



…大介の様子は


中に入ってからも

やっぱりおかしい。



目の前にあるジュースを、じっと眺めているが


先生を見ているようにも見えた。




一体何なんだよ……。




「遠藤くんは将来は決まっているの?」



突然、先生からの質問。



「え……あ……、一応、医者を…」



不意討ちだった俺は


答えるのもしどろもどろ。



そんな俺に



「近くで見ると


噂以上に


本当にいい顔してるね。」



にっこり微笑むセンセ。




…前も俺の顔のこと何だか言ってたけど


…まさか!?


俺が疑いの眼差しでセンセを見ていたのもそっちのけ

すかさず真が



「いや、先生の方が断然男前っす!」


『ひゃ〜!言っちまった〜♪』


なぜか照れ笑いの真。


その笑いのまま

「ところで、センセ…」



「みんな、特に女子を代表して聞いちゃいますが……。


カノジョ、いるんですか?」


身を乗り出す。



俺も、ある意味聞きたい。

耳を傾ける。



「…彼女か。


彼女はいないよ。」




意味深に笑い


答えるセンセ。



こんなルックスしててもいないのか。


理想が高いのか?



それとも…




センセの顔を見ながら


俺は色々想像していた。





「────あっ、来た。」

先生が入り口のある方に


右手を高く挙げて




「こっち、こっち──」






手招きをする。




後ろ向きになっている、俺と大介は




振り向き



センセが手を振る方向に目を向けた──…。