「─あっ!



センセーセンセー!!」




真が


二年の教室から出てきたヤツに手を振った。




相手も真に気付いて



「長谷川〈ハセガワ〉。


受験勉強ははかどってるか?」


俺たちに近付いてきた。



長谷川は真の名字だ。




…二年担当の…センセ?


俺が見たことないから


…文系専門の教師か?



一歩後ろに下がりながら



真とその『センセ』、二人のやりとりを見ていた。




「……あ?


確か、遠藤くん、だよね?」



俺に気づいたらしい。



その『センセ』は


背は

俺らとあんまり変わらない。


歳は…30代前半?いや、20代後半か…



サラサラの少し長めの前髪にメガネをかけていたが、

かけていてもわかるぐらい

整った顔をしている。




…線が細くて


神経質そうにも思えた。





「…はい。



遠藤です。」



何で知ってるんだ?


取り合えず


『センセ』相手だから

テキトーに答えておいた。

そんな俺をじっと見て、



「君のことはよく存じているよ。


この学校でとても



有名だからね。」



ふふっ、



『センセ』はメガネを直し

──…意味深な笑みを浮かべた。