「…ハヨ。」



俺は大介から目を反らし、


「…大介


…一昨日はサンキュ…。」




……あの夜


結局、俺は


そのまま寝てしまい

次の日の朝に自宅に帰った。



テーブルの上に

吉田さん宛ての置き手紙をする。



…昨日のおわびと

具合いがよくないから学校を休んで寝てるから起こさないで、という内容で。



これ以上
心配をかけられないと思った。



…それでも、吉田さんは俺の様子を見に来てくれた。


俺はベッドの上を見て


顔の傷を見て驚いた吉田さんは



「あらあら〜!

せっかくの男前が台無しだわ!!」


声をあげたが

何も聞かずに下に戻って


湿布と顔を冷やす為のタオルを持ってきてくれた。



…今の俺のことを本気で心配してくれる人はほとんどいないから

その優しさが身に染みた。


それから三日間休んだ。



「おっ!

ハルからお礼言われちゃった〜!!

こ〜んなに天気いいのに、
今日はこれから雨かぁ〜。」


窓の外に目を向け、空の様子をうかがう大介の顔は、子供の顔だ。



「──…オマエ…

素直に、はい、で、いーじゃね〜か…」


せっかく、勇気を出して言ったのに。



「…そんなこと言っててい〜の?」


大介は丸い目で俺を覗き込む。



「休んだ分のノート、


見っせないっ♪」



ニヤリと笑い

片手に持っていたノートをひらひらさせて


自分の席へスキップして行ってしまった…。


アイツ…

性格よすぎる…(怒)




それから10分後

…俺は 大介に頼み込んでノートをせっせと書き写していた。



仕方ない。


俺だって受験生なんだから。