「警察?!」


「やばい!」


「逃げろ!」



「裏口あっちだっ!!」




男たちの焦る声が、口々に聞こえるが、


俺の体は立つ気力さえ残っていなかった。




バタバタっと逃げていく足音を聞きながら、俺は倒れたまま動けなくて



目を閉じた。




─閉じる瞬間、俺に駆け寄ってくる足音が聞こえた……ような気がする。






「晴海くんっ!…晴海くんっ!!」


───────────
─────────


え?


この声……。




──俺、夢見てんのかな…



この呼び方……


一人しか許してなかった……。




夢のくせに


俺の手を握る、その手はあったかいや…。


重症か?俺。



うん、夢でもいい。




また


会えたんだ…。





───俺はその手をしっかり握って






気を失った──…。