俺は振り向いた。



そこには、スラッと背が高く細身、髪をゆるく巻いて、胸元の大きく開いた黒のニットで眼鏡が知的でエロイ"大人の女性"が立っていた。


目が合った、けど


“その女”はすぐに下を向く。


「こっちだよ」


センセが彼女に手招きをする。


「えぇっ!?

センセーの彼女サンですか!?」

興味津々の真が


身を乗り出して目の前に座った“女”をマジマジと見てる。


彼女は…うつ向き加減で俺たちに目を合わせない。


顔もよく見えないけど


…“その女”の胸元がやけに気になり


俺も慌てて視線を反らした。



「彼女ではないよ」


クスクス笑いながら先生は彼女の肩を抱き寄せ



「私の奥さんだよ。」



……………。

「…え〜〜〜!!まじっすか〜!!」



真が店内に響く(多分、聞こえた)くらいの大きな声を出して驚いた。



「真、ウルセー…」


「え、あーごめんごめん!いやぁ、あまりにもびっくりしてさ…」


頭を掻きながら周囲に頭を下げてる。


「結婚指輪はしないんですか。」


俺が質問をする。

気になるのはセンセじゃなくて目の前にいる“女”。


先生は自分の左手の薬指を触りながら


「詮索されるのは嫌いでね。


ここに付けてると、女子生徒たちが根掘り葉掘り聞いてくるだろう?だからあえてつけないんだよ。」


ふふっと笑った。



…フツー、付けてたほうが"女除け"になんじゃねーのか?



俺はオクサンを見た。



けど、やっぱり下を向いたままで…。変なオンナ。



「で、どこで知り合ったんですか?!」


目をランランさせて質問を始める真。




キョーミねぇよ…。


俺はジュースを飲みながら隣の大介を横目で見た。


……大介?


大介の様子がおかしい?