群青色の恋     〜私たちの恋愛模様〜

「逃げるのは……それは弱さ……だけどさ」



ふっと笑って、


「大切な人が消えちゃったら…僕だって何かに逃げたくなるよ。」



私を見た。



大ちゃん

…そんな顔で見ないでよ。

私が…今まで作り上げてきた仮面が、剥がされちゃう…


…やっぱり

大ちゃんは会ってはいけない人だった。



昔の自分に引き戻されてしまう存在だから。



「……あの…」

「……シッ」

「…え?」


「話し声が聞こえる…」


──…そう言われて、私も耳を澄ました。


…それは公園の中の方から聞こえてきて…


「…行ってみよう」


私たちは走り出す。



公園の入り口をくぐると、すぐに噴水が見えてきて…

月明かりに照らされてキラキラ輝く水面に写し出されているのは……



「大ちゃん!あそこ!!」

木々の陰に隠れてそっと覗く──…


「……ハルだ…」


大ちゃんは呟く。
…私も息を飲んだ。


周りには三人くらい人がいて、何か話してるみたいだけど、ここまでは聞こえなくて……。



──ドスッ



鈍い音が聞こえた──



「大ちゃ…!晴海くん殴られてるよ!!」


「…ホントだ…」


何度も殴られてたみたいで晴海くんの体は揺れてて…

鈍い音を聞くたびに、動悸は止まらず、寒いはずなのに、手に汗をかいて震えてきた……



「早く助けないと!」


「助けるって…落ち着いて、おーちゃん!!」


焦る私の両肩を抑える大ちゃん。


そんな間にも何度も殴られてて…


晴海くんは地面に倒れこんだ──…



やだ──────!!!



大ちゃんが止めるのを振り切って夢中で走った。






『おまわりさ〜ん。こっちです!こっち!!』



私は、公園の入り口に向かって思いっきり叫んだ。



──晴海くんから今すぐ離れて!


…もし、嘘だってバレたとしても、私が死んでも晴海くんを守るって決めてたから……不思議と怖くなかった。