群青色の恋     〜私たちの恋愛模様〜

只今の時刻、22時。


案の定、涼から電話がかかってきた。


「風邪薬飲んだから、眠くて。もう休むから…」


さりげなく釘をさし、私は電話を切ったあと、すぐにマンションを出た。


自分が留守にするときは、必ず、自宅の電話にかけてきて私の様子をうかがうから、それを受けないと外へは出られなかった。



先に電話で呼んでおいたタクシーが停まってて、私は行き先を告げて乗り込む。


まだ、大ちゃんにどこまで話すかを決めてなかった。しばらく考えてたけど、



「着きましたよ。」


意外と早く着いてしまい、タクシーを後にした。


角を曲がるとすぐに大ちゃんの家が見えてきて──…

「あ、おーちゃん…」


大ちゃんが門の前に立っていた。




「待ってたの…?」



「…待ってたのは待ってたんだけど…実はさ──…」

大ちゃんがちょっと眉を下げて


「ハルがまだ帰らないって電話があって──…」



…え?


「…晴海くんが?」


私は腕時計を見る。


22時55分……もうすぐ23時になる。


「おーちゃんの話もすぐに聞きたいんだけど、…ハル探してからでいいかな?

ハルんとこに手伝いに来てるオバチャンが心配性だから、早く安心させてやりたくて」


大ちゃんも時計を見た。


「もちろんだよ!…私も一緒に探すから!」


確か…"吉田さん"だったよね、晴海くんとこに来てるハウスキーパーさん。


そんなことより、晴海くんのことが心配で……大ちゃんの前で、自分を作ることを忘れて、私も大ちゃんの後を追い掛けた。



「いつもなら遅くなるときは電話来るらしいんだけど、今日はなかったみたい」

「……そう」

「ただ…今日、ハルんとこ進路の最終面談だったから何かあったのかもな──…」


話しをしながら走っていたけど、大ちゃんはチラッと私を見て、


「…おーちゃんに会って、いいようにも悪いようにも変わったよ、ハル。」



ドクン──…




走ってるせいじゃない…

彼の名前を聞いただけで



心臓が暴れ出した…。