群青色の恋     〜私たちの恋愛模様〜

「……大ちゃん…」




「テニス部の部長やってたトモダチの付き添い。」



「──…そう…」


まさか、こんなとこで会うと思っていなかったから

動揺の色を隠せなくて、平常心を保つのが大変だった。



「──…それよりさ…」


大ちゃんが一歩近く。



「…おーちゃんこそ


どうしてここにいるの?」



落ち着かせたはずの心臓が、また速くなる…



「…テニスの試合を観にき来たんだよ?ほら、私、テニスやってたし。」


いつものスマイルを作る。


「知り合いと来たの?」



「………違うけど。」


「じゃ、…なんでわざわざここまで観に来るの?

近くでだってやってるでしょ?テニスの試合ぐらい。」


…大ちゃんの口調がだんだん強くなってきて



「…さっき、うちのテニス部の顧問と話してたよね?

知り合い?」


──…言葉が出てこなくて…黙ってしまった。




──そのとき



「……みお、──美桜!」



…遠くから私を呼ぶ声が聞こえてきた



マズイ!!


…涼が私を探しに来たんだ。


大ちゃんといるとこなんて見られたら


「ごめん大ちゃん。……私、行かないと…」


「ちょっと待ってよ!そうやって…いつもはぐらかさないでくれよ!!」



私の手首を掴む。


細い腕だけど、やっぱり男の子だ。


振り切ろうとしても全然だめで……



「……わかったよ。話すから手ぇ、離して…」



そう言うと、すぐに離してくれて、私は捕まれた手首を自分で握る。



「…今は無理。


今夜…大ちゃんちに行ってもいい?…何時になるかわかんないけど。」



大ちゃんを見る。


「……わかった。待ってる…。」


その言葉を聞いて、

「じゃ、私、行くから…。また後で…」



涼の声のする方へ駆けていった。