群青色の恋     〜私たちの恋愛模様〜

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「ねぇねぇ〜ミサキさ〜ん!今日ヒマ??」


講義が終わると同時に、私に声をかけてくるのは……確か、渡部〈ワタナベ〉さん。


「ヒマだったらさ、合コン行かない?」

「合コン?」


「そっ!ミサキさん、キレイだから、キレイな子が来るって聞いたら男共、絶対喜ぶよ!」


渡部さんは細い目をより細めた。


私は教科書をバッグにしまっていた手を止め


「そう言って貰えて嬉しいよ、ありがとう。
…けど、ごめんね。今日の夜、知り合いが来るから、家に早く帰らなくちゃ行けないんだ。」


「そーかぁ。ざ〜んねん」

「誘ってくれてありがとう。次はぜひ参加したいわ。何かあったらまた声掛けてね。」


私は渡部さんに微笑む。


彼女は顔を赤らめて


「ううん、いいの!こっちこそ急に誘って!」


手を振って他の友達の元へ駆け寄り


「ミサキさんと喋っちゃったよ〜!」


「合コンは何て?」


「知り合いが来るからごめんね〜って。」


「絶対カレシだよっ!!」

「断り方もスマートでドキドキしちゃった〜!」


「大人っぽくて、とてもタメとは思えない!」




……やれやれ。


『大人の三崎美桜』を演じるのもエネルギーがそうとう必要で…。



私は教室を後にし、学食のラウンジにある椅子に座り、コーヒーを飲んで一服する。

風が冷たくなった今の季節は、誰もここにはこない。この時期のラウンジは私のちょっとした居場所になっている。


…合コンとは言わないけど、友達と遊んだり、買い物に行ったりしたかった


まぁ、自分で近寄りがたい雰囲気を作り出してしまった今、誘ってくれる人も少なくて…。



今日は先生が実家に帰ってくる日。

…あ、違う。
"涼"って呼ばないと機嫌が悪くなるから気を付けなくちゃ…。


来週はテニス部の監督として土日は試合の方に行かないといけないからって今回わざわざ帰ってくる。


休みの日くらいのんびりしたかったのに……。


コーヒーを口に含んだ。