──…たくさん泣いたあの日から


月日はどれくらい流れた?

私の時計は止まったままで

いつまで経っても動かない。



…最後にハルくんに会った夜、三崎家に着いたのは夜


先生…涼は…

かなりイライラしていた。

「…遅くなってしまってすみません。」


涼にに頭を下げる。



「いや、オレが連れ回してたの。歳近いから話しが弾んじゃってね〜」



瀬南くんが頭の後ろに手を組んで、相変わらずの口調で先生に言うと、


「…瀬南と?」


眉を潜めたので、慌てて


「眞子さんも一緒でした!」



つい、眞子さんの名前を使っちゃった!



でも、先生は眞子さんの名前を出すと、


「眞子ちゃんのことは私も知ってるからね。」

すんなり納得をしたので、ひとまず安心。




「美桜、昨日はすまなかったね。急用とはいえ、君を置いていってしまって…」

先生はあれからの出来事を話し始めたので、昨日のことも今日のこともバレていない──…、胸を撫で下ろした。



「──…実は、美桜をここへ呼んだのは、ちょっと困ったことになってね」



「困ったこと…ですか?」


先生はソファに座り直し、

「──…昨日、学校に行ったとき、上から言われたことなんだが…」



ふうっとため息をつき、



「異動が決ってね。」



やれやれ…、参ったという顔をしている先生。



「異動…転勤ですか?」


教職員の異動は、まぁ、普通だよね。お父さんも家から遠いところに異動したりしてるから。




「…何が困ることなんでしょうか?」



「いや、…大学が決まった君に、こういうのも何なんだが……」



先生は私の手をとり、



「大学には通わず、私の側に居てくれないか。


一緒に着いてきてほしい。」



……………。


…この言葉をハルくんから聞けたなら


私はきっと喜んで着いていっただろうナ。