「美桜さん、この家に来てだいぶ経つかな?」
「お父さん。美桜さんが高校卒業した後からだから、一年半ぐらいですよ。
そんなに経っていないけどすっかり仲良しだものね、私たち。」
お義父さんとお義母さんがソファに座って、にこやかに笑う。
「そう言って頂けて
光栄です」
私は微笑んだ。
そんな私の隣には
…涼がいる。
「私の仕事も落ち着いてきたからもうそろそろ一緒に暮らせるよ」
涼は、笑みを浮かべ
私の右手を自分の膝の上に乗せた。
「そうだな。
お前もよく我慢したな。本当は美桜さんを返したくないのだが………なぁ、母さん。」
「えぇ、本当に。
美桜さんは学業も家事も、お父さんのスケジュール管理も完璧にこなしてくれて。母さん、とても助かったのに。」
「お義母さん、いつでもお手伝いに来ますから。」
「いや、父さんも母さんも美桜を困らせるようなこと言わないでくれよ。」
涼がちょっと強い口調になる。
「頼りにされてることは嬉しいことだよ?」
涼の手をギュッ握り
顔を見て微笑んだ。
涼も『まぁ、そうだよな』すぐに機嫌が良くなる。
「お前のところに返すんだから、早く孫の顔を見せてくれよ」
お酒が入って上機嫌のお義父さん。
「二人の子どもなら、さぞ可愛いでしょうね〜」
「まだ早いよ。それにまだ美桜は学生だよ。そんな焦らなくても。な?」
そうは言っても、涼の声は弾んでて
──…子ども?
「…そうですね。」
ふっと
はにかむ振りをした。