群青色の恋     〜私たちの恋愛模様〜

…晴海くんが戻ってくる前に、ここから出ていかないと…。



床に散らばった服を集め、身に付ける。



…最後にコートを羽織り、バッグを持ってドアに手をかけた──…。



──…ちゃんとサヨナラしなくちゃ…



テーブルまでゆっくり戻って、床にバッグを置き、手帳を出した。



『晴海くん──…あなたなら大丈夫だよ。…私のことは忘れてください。──…本当にごめんない。さようなら…』


ペンを走らる。



最後に…




『ずっと愛してる』

…書こうとしたけど──…やめた。



その言葉で、晴海くんのこれからの人生を縛り付けたくなかった。



手帳から切り放し、テーブルの隅っこに置く。




こんなもの…置いて帰りたくない。


ずっと側にいたい…。




──…でも、…私は学生。晴海くんだって…もちろん学生。



どうすることもできない現実。



これで本当のさよなら…だね。



そっと…リビングのドアを閉め、シャワーの音が聞こえるバスルームの前に立ち、




「…バイバイ」




シャワーの音でかき消される私の声。



──静かに玄関を出て、公園に向かって歩いた。



今頃になって、擦れたカカトや、ふくらはぎがジンジン痛んできた。



でも、そんな体の痛みより、胸が張り裂けそうなくらい痛くて……。



呼吸がまともにできないくらい、私は泣きじゃくっててた。


夜で本当よかった。


暗闇が私を消してくれるから…。




「──…ふぇっ…」




手で口を押さえてたけど、役には立ってないみたい。






瀬南くんの車が見えるまでずっと泣き続けてた──…