群青色の恋     〜私たちの恋愛模様〜

ハルくんは自分の体を触り

「汗でベタついちゃったね」

照れながら後ろを向く。


その時、──気付いた。


私の携帯電話が、バッグの中で光ってることに。



タイムリミット…。


「シャワー浴びておいでよ」

さりげなく、ハルくんに言う。


「──…おーちゃんからいいよ。どうぞ」


…無理強いしてもおかしいって思われるし─……


「私は大丈夫…。先に入っておいで。
…それに、私、もう少し横になってたほうが楽なんだ…」


半分ホント、半分嘘…。


そんな私の体を心配してくれるハルくんは私の頭をそっと撫でてくれた。


ハルくんにまで嘘をつく自分が心底嫌いになる。

もう、ハルくんに優しくされる資格ない…。



「もう少しすれば大丈夫だよ。──ほら!」


背中を押す。


そんな私を引き起こし、ハルくんは抱き締める。


これで最後。ホントに最後。

もう少しだけ……このままでいさせてください。


ずっと…忘れないよ。



「…私とくっつくとますますベタベタしちゃうよ。ほら、行っておいで!」


右手でハルくんの頭をポンポン軽く叩いた。


「──…わかったよ。」


笑いながら立ち上がって『行ってくるね』私のホッペにキスをした。



『いってらっしゃい!』

…私はハルくんの背中を押して明るく送り出した。





────バタン…

リビングのドアが閉まると同時に私の顔から笑みが消えて──、


バッグの中を探って携帯電話を取りだし、着信履歴を見る。



……やっぱり。


そこには、瀬南くんからの不在着信が五回あった。


ピッ──…


「──もしもし、…私、美桜…」


『あ、義姉さん?!今から迎えに行くから。…さっきの公園でいい?』


「……うん」


『──…じゃ、すぐ行くから。ウロウロしてんじゃねーぞ!』


そう言って瀬南くんは電話を切った。


…私も電話をバッグにしまう。


泣いたってどうにもならないこと、わかってるはずなのに……。

落ちる涙にムカついた。