「隠してないよ〜何にも。
大ちゃんからの電話は、先生がヤキモチ妬いちゃうから出なかっただけ。おかしく見えたのは、マリッジブルーだったのかもね♪」



怪しまれないように、普通通り"明るいおーちゃん"を演じる私…。


『──…けどさ「美桜〜!」

「あっ、ごめん!呼ばれちゃったから…行くね。

じゃ…またね…。」


未来はまだ何か言いたそうだったけど、私はすぐに電話を切った。


…これ以上話すとボロが出そうで怖かった。


ごめんね、未来…。



「美桜、ここに居たのか。
…誰からの電話?」


先生はリビングから出てきて、私が手に持ってる携帯電話を見てる。



「…未来からで、連絡網が回ってきたんだって。卒業式当日の話だよ。」


嘘をついた。

先生と一緒にいると、自分がどんどん嫌いになっていく…。

嘘をつかないと、家族とも電話できないなんて。



「…先生はどうされました?」


先生の手にも携帯電話があった。


「いや…実は今、学校から電話があって…一年生二人が補導されたから迎えに行けって言われてね。」


あぁ、先生は生徒指導もしてるから…。


「迎えに行ったあと、親御さんにも会いにいくと思うから、何時に戻れるかわからない。…美桜、一緒に出ていこう。」



え?…ちょっと待って!!


「なんでですか?!

…一緒にいたらその子たちにバレちゃいますよ!!先生、一応『生徒指導』担当なんですから!」



…さすがに卒業するまでは先生とのこと、バレちゃいけないだろう!



この人…ホント何考えてるかわかんないっ!!



先生は『…あぁ、そうか』なんて言って顎に手を置いて考えてるし…。



「オレ、義姉さんのこと、送っていってやるよ」


先生の後ろから声がした。


「…瀬南が?」

先生は少し驚いた様子で瀬南くんを見た。


「義姉さんの言う通り、まだ学校に知られない方がいい。

義姉さんの立場も考えろよ。」


…ちょっとトゲのある言い方をした瀬南くんの言葉に、先生はムッとしたみたいで険しい表情をした…。