群青色の恋     〜私たちの恋愛模様〜

「──…誰?」


私の隣にいた大ちゃんが、眉間にしわを寄せながら先生を見て、私に聞いてくる…。



「あぁ、…『大介くん』だね。今日は美桜が世話になったね。」



先生が私の代わりに、ふっと笑って答えながら



カツッ、カツッ、カツッ…

近付いてきて、私の肩を掴み、引き寄せる。



「ちょっ…何するんですか!」


温和な大ちゃんが怒鳴ってる…。



「…美桜から聞いていないみたいだね。


私たちは結婚するんだよ」


「は……?」



大ちゃんの手が止まった。




「彼女が卒業する、三月に結婚するよ。」



サラリと言う先生。



信じられない──…そんな顔をしている大ちゃん。



目を見開いて、呆然と先生を見ていて……



「どういうこと……それ?」



私に視線を移した。


……私は大ちゃんの目を見ることができなくて、反らしてしまった。





──…これが私の現実。




「美桜、車に乗りなさい。」


私の背中を押して助手席に連れていき、ドアを開ける。


夢は終わった。


…歪んだ愛を与えようとする先生の元で、これからの現実の世界を過ごさなければいけない。




「……大ちゃん、今日はホントに…ありがとう!」



後ろを振り向き、ありったけの気持ちを込めて、明るく伝えた。



「──…おーちゃん!全然意味わかんないよ!!」



困惑してる大ちゃんの声が聞こえたけど、私はすぐに車に乗り、先生も運転席に座って、車が動き出す。




後ろは見なかった。

大ちゃんの顔を見ちゃうと泣きそうだったから。




…それに、隣にいる先生が気になった。



──しばらく走って、大きな通りに出ると、先生が運転したまま低い声で呟く。




「……君は、私がいないといい悪いの区別がつかないみたいだね──…」