群青色の恋     〜私たちの恋愛模様〜

──…会話の中で、私の何気ない一言が、ハルくんの誰にも見せたくない部分に触れてしまった。



…そう気付いたときには、ハルくんはポツリポツリ、私に話してくれてた。



お父さんがお医者さんてこと。

病院からなかなか帰ってこないこと。


この、私の家の二倍くらいある大きなお屋敷に、一人で住んでること。


そして、一番言いたくなかった出来事──…。



お母さんのこと。


ハルくんが、お母さんのことを話す姿は重々しく、私の胸もズキズキ痛み出して…


ハルくんの痛々しい姿を見ていられなくて


「──…言いたくないことは言わなくていいんだよ」


私は口を開いた。




「…誰だって、話したくないことあるよ…。──無理にさらけださなくていいんだよ。時間が経ったら──…きっとよくなるから。」



そう言って、自分自身にもいい聞かせかた。



そう。時間が解決してくれる…きっと。


それに…私のせいで、無理矢理、傷口を広げるようなことしてほしくなかった。

私の話をじっと聞いてたハルくん。


「…母は…死んじゃった」


ゆっくり、最後の言葉を吐き出して、下を向いた…。


私より、大きな体をしているハルくん。…けど、そこには小さくうずくまるハルくんの姿しかなくて…



気が付くと、私はハルくんを抱き締めていた。



「大丈夫だよ…。」


…大丈夫、大丈夫。



そっと、ハルくんの髪を撫でた。



ハルくんは小さな子どものように、肩を震わせていて

私にできることと言えば、側にいること。


静かに涙を流してたハルくんを包み込み、ずっと抱き締めてた──…。