群青色の恋     〜私たちの恋愛模様〜

「……香織。」


ハルくんが後ろを振り向いて呟いた。



…そこには、女の私から見ても、化粧が濃いと思う、ギャルっぽい女の子が立っていた。



──ハルくんのお友達?




彼女…ではなさそう。

…にしては、随分ベタベタしてる。


──『香織』と呼ばれた女性は話しながら、ハルくんの腕に絡まったり、体を触ったりしてる。



……女の人と歩いてるとこ、遠くから見たことはあるけど、…こんな間近で見たことはなくて…。


私は見たくなくて、目線を下げ、……繋いでた手をそっと離した。



「……うっせーよ」


何か話してる途中に、ハルくんが"香織サン"の手を、バッと手を払い除けた。



ムッとた空気が伝わってくる……。




「─────あれぇ?」


"香織サン"が、私に気付いたみたいで、大きな声を上げた。




……なんか、すんごい見られてるんですけど…



"香織サン"は、私のことを上から下まで凝視して、



「ハルゥ、趣味変わったのぉ?────地味な子じゃない〜?!」




…バカにしたような口調でそう言ったんだ。



……普通、本人の前で言うか?性格悪いぞ?!



そんな"香織サン"。私が何も言わないからって



「これからハル、貸してくれないかなぁ?



あなたじゃ物足りなかっただろうから、私がもっとイイコトしてくるからぁ♪」


──…さすがに頭にきた!


「───…お前、いい加減に……」



ハルくんの言葉を遮って、


「申し訳ありませんが、今夜は私と……。間に合っていますので、どうかお引き取り下さい♪」



これでもか!、っていう上等な笑顔と、嫌味ったらしい丁寧な言い方で"香織サン"に反逆してやった。



そしたらホントに黙っちゃって…



「そーゆーことだから邪魔しないで。バイバ〜イ」



すかさずハルくんが私の手を握ってくれて"香織サン"に背を向けて歩き始めた。



私、見逃さなかったよ。



"香織サン"の顔が、とぉっても悔しそうだったのを。