…こんな近い距離だと、私の心臓の音、聞こえちゃうよ…。
ハルくんは振り返らず、何も言わずに、私の手を引きズンズン歩いてる。
──…よかった。前、見ててくれて。今、顔みられたら顔赤いのバレちゃうとこだった──…。
ある乗り物の列まで来て、ハルくんは手を離した。
……もっと繋いでたかったのにな。
残念… そんな私に、
「いきなりゴメンね。……おーちゃん消えちゃうからつい……」
初めて『おーちゃん』て呼んでくれた!!
顔を上げると、…ハルくんと目が合った。
あ、…ハルくんも顔赤い……。
いつもカッコイイイメージのハルくんだったから、それがなんか可愛くて──…
「…迷惑じゃなかったら私、ハルくんと手、繋ぎたいな…」
私にそう言わせてた。
……あ、耳まで赤くなった。……可愛いすぎ…キュン。
ハルくんを観察してた私。そしたらハルくん、横向いちゃった…。
でも、
「──…はい」
ハルくんが左手を差し出す。
──…夢じゃないよね?
…恐る恐る…そっと手を出す。
……やっぱり夢じゃない。
ギュッと握ってくれたハルくんの手は、関節がゴツゴツしてて、骨っぽくて、男の人の手をしてた。
けど、あったかくて…。
手を握られた時、私の胸も一緒に締め付けられた…。
