群青色の恋     〜私たちの恋愛模様〜

「──…ありがとう…」



怒鳴ってしまった恥ずかしさから、『瀬南』の顔が見れなくて、後ろを向いたまま、お礼を言った。



「別にいいよ。


あのさ、……イッコだけ聞いていい?」



『瀬南』は、また淡々と話す。


「……何ですか?」



「──…何で、好きでもないヤツと結婚すんの?」




──え?!



とっさに振り向いた。



そこには、細身の先生とは違って、肩幅ががっちりした、背が高い……と言うか、大きい男の人。


黒い髪は短くて、ちょっと浅黒い肌、それでも顔は……やはり先生に似ていた。



「…アイツのこと、好きでもないのに、結婚すんでしょ?」



アイツ…?


──…先生のこと?




「…何を言ってるの?

…好きだから結婚するんですよ…」




……先生の身内に、私の本心を知られちゃいけない!


私は、何事もなかったかのように、平常心を保ちながら答える。




…『瀬南』は私の顔から足、爪先までを見ながらこう言った。




「──…だったらさ。」



『瀬南』は、一歩、近付いてきて、私の眉間を指差し、


「──…好きなヤツとヤッてる最中の女は、眉間にシワなんか寄んないぜ?」




──ヤ、ヤッてる?!



「それに──…ほら、あそこ見て。」



『瀬南』は、ベランダの窓がある方を指差し、



「よく見て。──…上の窓、少し開いてるんだよ。すぐ隣がオレの部屋。


部屋が防音でも窓、開いてたらね──。

あそこから、あんたの嫌がってる声、オレの部屋に丸聞こえだったぜ──…」




…………声が出なかった。



顔が赤くなったり青くなったり……今の私は忙しい。


──…あんな声、聞かれてたなんて!!



『瀬南』に見られてる自分が恥ずかしくなって…



後ろを向いてしゃがみこんだ。


…穴があったら入りたい!

今頃、瞼が熱くなってきた──…



「そんな気にすんな。」



気にするよ!!