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「初めまして」


『彼』が頭を下げる。




…初めまして、か……。



野球観戦に行ってけど



大ちゃんの“噂の相手”だったって


気付いてないみたいだから安心して



「初めまして!」




私はハルくんに


昔みたいに
笑顔で挨拶をした。



初恋の『ハルくん』と

デート。




今日だけ忘れさせて下さい。

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何年振りだろう…。大ちゃんに電話をかけるのは。




人と距離を置いてた私は、
ボタンを押す指がかすかに震えた。



ふーっ…息を吐く。



RRRRR…『 ──はいっ…』


数回鳴らないうちに



声がもれた。



『…あっ……清宮と申します……』

『おーちゃん!?』


驚いた声をあげたが、すぐに


『久しぶりだね、おーちゃん!──ボク、大介だよ〜』


昔と変わらない口調。



…少し緊張がほぐれた。



「…うん…」


…ちょっと懐かしさに浸ってしまい


「──…なんか、おーちゃん元気ない?ちゃんと食べてる?!」



……─電話の声だけで大ちゃんにすべてがバレちゃいそう!



知られたくないよ…。



好きでもない男との結婚なんて。


「ううん、元気だよ!」



わざと明るく振る舞う。




「……ふーーん。」




何か言いたげだったけど、私が言葉で塞いだ。