群青色の恋     〜私たちの恋愛模様〜

「そんなこと、思ったことないよ」



私は未来に言う。



未来はギュッと両手を膝の上で握り締め


「ありがと……」


そう言って話し始めた。





「──…健吾とはあの通りであって……最初はすごく優しかった。一緒にいるだけですごく幸せだった、あたし…。健吾と一緒にいることで、あたしはここにいていいんだ、って……自分の居場所を見つけたの。


こんなこと、言える立場じゃないのはわかってる…。

けど、──…あたしがおーちゃんを怪我させてから、あたしの居場所はどこにもなかった。…家の中でも。


…おーちゃんは変わっちゃった……。それもあたしのせい。なのに、あたしを責めないし……。それが一番つらかった。それがおーちゃんの優しさだったかもしれない。でも、あたしは……あの時、責められることで、自分の犯した罪を体に刻みつけなければいけなかった…。


……健吾のすべてが嘘だった。ここがあたしの居場所だって、信じてた彼は、あたしのことなんか全然好きなんかじゃなくって、お金が欲しくて嘘までついて、あんなとこで働かせて……最後には脅されてて…。ここまで来ると、自分のアホさに泣けてくるってゆーか、笑っちゃう──…」




一気にしゃべった未来は、無理矢理笑顔を作ってたけど、目から涙が溢れてた。


「心配かけてごめんね…。

あたしを責めなかったのはおーちゃんの優しさってわかってる。おーちゃんはいつもあたしのこと考えてくれたもんね。


…おーちゃんが羨ましかった。小さい頃から。何やってもすぐにできちゃうし、顔は可愛いし、性格はいいしさ。……大ちゃんとも一番仲良かったし。


あたしたち、歳が近かったから、比べられてる感じがしてさ。
妬ましいって言ったほうが正しいのかもしれないね。

だから、いっつもつっかかってみたりして。でも、これだけ信じて──…。おーちゃんは、昔も今も、あたしの自慢のお姉ちゃん、だから。──…嫌いなんかじゃない。むしろ好きだから。メガネにおさげだって…」




未来は涙を手の甲で拭き、あたしを見て笑ってくれた。



「おーちゃんは、あたしの最高のお姉ちゃんだよ。今日は、迎えに来てくれて…ありがと…」