「……ただいま」


玄関に入るとすぐに靴をチェックした。


…未来はまだ帰ってない。


とりあえず安心し、真っ直ぐ部屋に向かおうと階段を上がる──



「──…おーちゃん、おかえりなさい。」



階段の下からママの声が聞こえた。



「…あ…ただいま」


顔を見ないで挨拶し、素早く部屋に入る。



──…ママの、私の顔色を伺う顔を見たくないから。



今の家は

息が詰まって仕方ない。



いつからこうなったんだろう…。


───…あの一件から、家族の中がギクシャクし始めた。



──…すべて私のせい。


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……あの時、私は車にはねられた。



厳密に言うと、車のボンネットの上に乗ったおかげで

大怪我をせずに済んだ。



ただ、ボンネットから落ちるとき、強く頭を打ったせいで、意識がなくなり、その場で病院に運ばれた、らしい。


意識がなくなるとき、未来と大ちゃんの悲鳴にも似た声が聞こえたけど…



それから三日間くらい意識がなかったみたい。



未来は『自分のせいだ…』ずっと自分を責めていたって、みーちゃんが言ってた…。



意識が戻り、検査をして異常がなかった私は、三週間後に退院できた。




…その間に、大ちゃんが一度お見舞いに来てくれた。