私の声と誰かの声が重った。


……それにぶつかったのに

痛くない。



とっさに目をつぶってしまった私は



おそるおそる目を開けた。




「…大丈夫?」



上から声がする。…ゆっくり見上げると



そこには知らない男の人の顔があった。



「そんなに慌てて…何かあった?


力が入ってるよ?」



…よく見ると、私…その男の人に抱きついてる!?




「!!すっ、すみませんっ!!」


慌てて離れた!

顔が赤くなってきたよぉ〜(涙)!



そんな赤くなったり青くなったりしてる私を見て



クスクス笑っているその人は



追いかけてくる、さっきの男たちとは違い



キチンとした身なりに


サラサラなびく髪



そして


TVに出てる人みたいな整った顔をしていた。





…親友の彩がこの場にいたら『かっこい〜!』と騒ぎそう……背も高いし。


160センチある、決して小さい方ではない私が、彼を見上げてる。




いろんなことを考えていたら


後ろからバタバタっと足音が聞こえ



「あっ!みーつけた〜」


「もー逃げることナイじゃん♪」




──…追いつかれてしまった!