走って教室まで戻った
「あ、すーちゃん!」
まだお弁当を食べずにあたしを待ってくれてたみたいだ
時間をみると、もうすぐ授業が始まる
「夏目、次、さぼろうか」
「え?」
「お昼。待っててくれたんでしょ?屋上行こう?」
「う、うん!」
サボると聞いて、不安そうだった顔が
すぐに笑顔に戻った
よかった
階段を上って屋上に出たとき、丁度チャイムが鳴った
「夏目、ごめんね?お腹すいたでしょ?」
食欲旺盛な夏目がご飯を食べずに待っててくれた。
餌を前にした犬がヨダレを垂らして「待て」を必死に守ってる感じだったんだろうな・・・
「ぜーんぜん!大丈夫だからあ!」
ぐぅぅうううう
笑顔とその言葉と、夏目のお腹の声
「ふふふ」
あたしが笑うと、顔を真っ赤にして
「あ、ち、ちちち、違うの!!今のは違うのぉ!」
「はいはい、ご飯食べよ?」
「う~・・・・」
「食べないの?」
「食べるぅ」
たわいない会話が幸せのひと時
あたしはもうこれ以上望まないから。
だから、神様。
あたしから夏目はとっていかないでね?

