教室はガヤガヤとにぎわっている
あたしを除いては

窓際一番後ろの席のあたしはずっと空を見上げ、ヘッドフォンをつけている

音楽を聴いているわけじゃない
耳を覆えば、周りの声が聞こえなくなる気がして、すごく落ち着くから。
いわばあたしが作った、周りとの壁

その壁がべりっと何者かによってはがされた

「おっはよ!!」
耳元で大きな声がガンガンと響く

「夏目・・・五月蝿い」

「あっ!そんな邪魔くさそうな顔しないでよーう!愛しの夏目ちゃんの登場だっていうのにっ!」

キンキンと高い声を出す彼女はあたしの親友
唯一あたしが気を許した相手


「・・・・・おはよう、佐渡さん」

「いやーーー!苗字いやーーー!」

からかいがいのある子だ

中学からの付き合いで、この子がいなかったら、あたしは一切笑わなかったと思う

夏目といるときだけ、笑えるから