大理石の冷たい玄関にペタリと座り込んだ
目から涙があふれてきた
この広い家で、あたしはいつも1人だった
小さいころから親はおねえちゃんに付きっ切りで、
あたしはいつも後回しだった
親が猛烈に愛するほど、お姉ちゃんはすごかった
小さい頃から
勉強ができて、運動もできて、容姿端麗で、出来すぎなほど優しかったお姉ちゃん
学校ではみんなの注目の的で、
小中高一貫校だったあたしたちは、
ずっと、姉の背中を見てきた
家でも、学校でも、姉が1番だった
大好きだったけど、大嫌いだった
1年前、お姉ちゃんは交通事故で死んだ
今でも忘れない。あの日のことを
あんなに取り乱した両親を初めて見た
あんなに泣いていた両親を初めて見た
お姉ちゃんは、すごく大きな存在だったのだ
あたしは、要らない子。
でも・・・・、最後くらい抵抗させて
「・・・・・や・・・・」
ずっと座り込んで泣いていたあたしが突然発した声はすごく小さくて、震えていた
「なんといった?」

