「この書類を見てほしいんですよぉ」

コイツの用件はそれだったらしい
・・・係長んとこ行けばすむ話だろ

わざわざご丁寧に俺のところへ来てくれたらしい

「あー・・・どれどれ?」

それを見てやると、
・・・・・まじかよ?

そこにあったのは完璧にまとめられた書類だった
これ、なにも文句の付け所がねえ

これは・・・、こいつのこと嫌いでも仕事のことは褒めてやってもいいか・・・?

・・・つか、こいつ、名前なんだっけ?

「あ~・・・塚?塚なんとかだった気がする・・・あー」

ボソボソと俺がこいつの名前を考えているとき

「もしかしてぇ~、私の名前忘れちゃったんですヵあ?」

と、ちょっと悲しそうな声

・・・まあ、自分の名前忘れられたら悲しいよな

「すまん・・・」

「べっつにぃ?いいですよ!」

とすねたような口調

うん、可愛いと思わんから早く名前教えろ


「私の名前はぁ、綾乃ですよお?」

・・・。
「・・・苗字は?」

「あ、苗字は村藤ですけどぉ・・・。私、先輩には綾乃って呼んでほしいです」

・・・・こいつ馬鹿じゃねえの?

「・・・社内で下の名前を呼ぶことはしないようにしてるから」

つか、一般常識だろ