「練習に付き合ってくれるのは嬉しいけど、もう少し参加して欲しいよね」

美鈴が帰宅途中、拓馬にぼやいた。

「そうだな。

でも、仕方ないよ。

バスケの事、何も知らないんだから。

無理やり顧問を押し付けられたんだろう」


「それはわかるけど、練習中ずっとあの人の側に居る私の身にもなってよ。

一言も話さないのよ。

いくら何も知らないからって、掛け声くらいかけてくれたって良いでしょ。

ファイトとか、頑張れとか。

ちょっとうんざり、というか憂鬱。

明日の練習が憂鬱だわ・・・」



これ以上美鈴の口から早苗先生の愚痴を聞きたくなかった拓馬は、いつもするおやすみのキスもそこそこに美鈴を送り届けた。


ちょっとした違和感が残った。