次の週から、バスケの練習に早苗が参加した。

彼女はバスケのルールさえ知らなかった。

ただ、居るだけだった。

それでも部員は皆、居ないよりは「まし」だと思っていた。


前の顧問の先生が妊娠して、突然産休を取ったからだ。

部の運営上、顧問の先生は絶対に必要だった。

体育館さえ、使用に制限があったのである。


早苗は練習を最後まで見届け、体育館の戸締まりをするのが常だった。


部員に指図することは無かった。