10分ほど歩くと
高校の門が見えた。

6年前に新設されたばかりで、真新しい。

道を挟んだ隣に白いタイルの建物があった。

「あれだよ。たぶん」

「随分近いわね。学校からも。私の下宿からも」

「そうだな。これから新しい生活が始まるなんて実感無いな」

「私も。家族と離れ離れになるなんて、いまだに信じられない」

「きっと色んな事が目まぐるしく変わるんだろうな」

「そうね。きっと変わるわ。色んなことが」

それでも美鈴は、拓馬に対する思いだけは変わらないと思った。

そしてそれは、その通りだった。