夜。


美鈴は緊張で震えていた。
明日が中学の卒業式で、
生徒総代として答辞を読み上げるからではなかった。


幼なじみの拓馬に
「ずっと好きだった」と
告白する事を決めたからだ。



「でも、何て言えば良いの?」

そこでいつも
思考が停止していた。

学年で一番の才女も
この事ばかりには、太刀打ち出来なかった。



「だめだわ。これ以上考えたら
頭が壊れてしまう」

美鈴は混乱した時、
いつもそうするように
ビニールに氷をつめて
顔を冷やした。

ほてった体に心地良かった。