シギは、目を見開く。
私の、両親…………?
そんなの………
考えたこともなかった。
それに………
「……私は産まれたばかりで捨てられた子です。
その人たちが私の両親だという証拠はあるんですか?」
シギは聞く。
両親がいるだなんで、信じられない。
それも、その両親のことを、見知らぬ人に語られたって、信じられる要素なんかひとつもない。
すると、青年が少し困ったように笑う。
青年が、言う。
「それは話すと長くなるんですが…」
「かまいません。」
すると青年は、シギを射抜くように見つめる。
一瞬ひるんでしまいそうになるほど、強く。
「……あなたは、成長しないんですよね?」
「そうです。」
「そして不思議な力も持っている。」
「はい。」
「……それが証拠です。」
その言葉に、シギは眉をひそめる。
「……どういうことですか?」
すると青年から、何か不思議な雰囲気が流れ出す。何か神秘的で、触れてはいけないもののような、雰囲気。
「……あなたのその不思議な力は、あなたのご両親から受け継いだものだということです。」
それに今度こそシギは呆然とする。
この6年間自分が何物なのかまったく見当もつかなかった。
理解不能の力。
この世にあってはならない力。
それを有する自分がまったくわからなかったのに。
それをこの目の前の青年は、あっさりと解決する。
普通なら信じられるはずのない話なんだ。
根拠のない話。
だけど。
目の前の青年からは、そんな疑いを払いのけてしまうような何かがあった。
なぜか彼の話は信じるに値する気がするのだ。
「……もう少し詳しく、話していただけませんか?」
シギは震える声で言う。
すると青年は、また、悲しく笑った。



