世界が真っ白になる。




そこには僕と、師匠たちしかいない。



さらに、師匠たちも、人間の形をしていない。





そこには、大きな蛇と、大きな鳥。





だがそれが師匠たちだとわかる。


師匠たちの中の、『呪い』だ。





そこで、自分は人間の形をしているのか、とふと思い、自分を見る。





形はどうやら、人間だ。





だが、肌の色がちがう。



青白く、輝く肌。

髪も、白髪になっている。



明らかに、この世の生き物ではない。


それに僕は、少し悲しく眼を細めてから、前の蛇と鳥を見る。




僕の身長の、2倍はありそうな、巨大な身体。


そんな恐ろしい見た目をしていながら、どこか彼らの眼は悲しげに見える。




タベヨウタベヨウ。



また『選ばれしヒト』が言う。





だが僕は、なぜか抵抗しない。


それは、『選ばれしヒト』の意識が強いからなのか。

感情が完璧に消えたからなのか。




ちがう。





なぜか今、師匠たちの感情が、僕になだれ込んできているからだ。


きっとここは、師匠たちの中なんだ。




だから、聞こえる。


師匠たちの声。






悲しい


苦しい


痛い


生きたい


死にたくない


子供に会いたい







でも、どの感情よりも大きな声。






これで、死ねる。


穏やかな、気持ち。





それから。


レイシア。ごめん。








それに、僕は泣く。

ふたりの意志に。

ふたりの決意に。

ふたりの愛に。






師匠。



あなたちは、こんなにも………