この状況は危険だ。


私も小太刀を握り締めながら、様子を伺う。

突然檜山さんは化け物を睨み付けながら強い口調で私に言う。

「お前は戦おうと思うな。隙を見つけて逃げろ。」

「でも…!!」

「無事に帰るんじゃなかったのか!?」

怒鳴られてビクリと反応する。

しかし、目の前で血を流している檜山さんを見て、引き下がるわけにはいかない。

ここで逃げれば本当に檜山さんは死んでしまうかもしれない。



「…今度こそ、役に立ちますよ。」

聞こえないように呟くと目の前の敵をじっと見据える。


足がガクガク震えたって、頭の中で危険だと叫んでいたって、そんなものは無視してやる。



恐怖でじわりと滲む視界を強く瞬いてはっきりさせる。