橘は思わず声をあげる。

「…あ…あの…ゴメンなさい…私…そんなつもりじゃ…」

「大丈夫だから…」

惣一郎は、橘から目をそらして応える。

「あの…本当に…違うの…驚いただけで…」

「わかったから…気にしてないよ…はやく…行こう…1人で居ても危ないし…皆も心配するから…」

そして、2人は無言で歩き始めた。

「ねぇ…」

沈黙を破ったのは橘からだった。

「何?」

「…前に、初めて会った時、……私が蹴ったあの時って肋骨…」

「……あぁ~しっかり折れてたね」