「山村さんってほんと欲望に忠実だよね。」 「よく言われる。つーかさ、なんでこんなめんどいこと引き受けてんの?」 「え、頼まれたから。」 「断ればいいじゃん。」 「は、」 「めんどいから嫌だ、って断ればいいじゃん。」 「…山村さんはそれでいいかもしれないけど私はダメなの。」 「なんで。」 「だって…」 …私は優等生だから。 唯は言葉を飲み込んだ。 「…社会に出たらそんなの通用しないよ。」 「それもよく言われる。」