そして放課後。

「雄真くーん!」

翡翠は樋口家の前で叫んだ。

「お前…ピンポン押せよ。」

「両手塞がってて。」

「なんだよその荷物!」

翡翠はキャリーバッグとボストンバッグを抱えていた。

「雄真君、私と一緒に二泊三日の旅に出ないかい?」

「は?なんだよいきなり。」

「行きたいところがあるの。」

「どこだよ。」

「着いてからのお楽しみ。」

「今から?」

「うん。」

「今からか…。」

「悩んでる?」

「うん。」

「悩んでるなら行こう。」

「は。」