麗子は変わり者だった。 人一倍好奇心旺盛で人一倍洞察力があった。 山村真治と植松麗子が出会ったのは大学1年のとき。 「あの教授、絶対ヅラだよね。」 「は?」 これが麗子の第一声だった。 学食でカレーを食べている真治にいきなり話しかけてきた。 麗子と真治はそんなに仲がいいというわけではない。 というよりも話したこともない。 学科が同じで、かぶった講義のときにすれ違うくらいだ。