「氷屶ッ」


「……帰ろ」



放課後になると、
やっぱり栞は俺を待っていた。

栞が言うことなんて
分かったから先に言った。

俺が先に帰ろうと言ったのが
珍しすぎたのか、栞は目を丸くして立ち止まった。



「……なんだよ、帰らねーの?」


「ううん、違うの。
氷屶から言ってくれたことが
すごく嬉しくて……」



そう言って
俺の隣まで小走りで駆け寄り
幸せそうに笑った栞。



「……」



やばっ!
今、
変な感情が込み上げたし……



「…?氷屶、顔あかい?」


「は?気のせいだろ」