☆李句side☆

桜舞う、春のこと。
俺は2年目になる道を歩いていた。

「ふぁあ・・・」

大きなあくびを一つする。
昨日の夜、遅くまで漫画を読んでいたからだろう。
辺りは少し緊張したような顏を良く見る。
今日は入学式だ。
はっきり言って、だるい。
どうして自分には関係ないのに入学式に出なくちゃいけないのか。
うらむように1年どもを眺めながら歩く。

そんな事を考えているうちに学校にはついていた。
いつもと違う教室に入る。
クラス替えが先日あったから。
机に鞄を投げるように置くと後ろから声が聞こえた。

「おーっす、李句。」

声の主は1年のときも同じクラスだった宮田白亜(みやた はくあ)。
ホントにすげぇ名前だよな。
名前の通り、イケメンで成績もよくて。
ため息が出そうなほど完璧なヤツだ。
それに比べて俺は谷口李句(たにぐち いく)。
李句って名前は結構珍しい方だとは思うけど、谷口って。。。
なんて地味な苗字なんだ。
あ、今のは全国の谷口さんに謝らなくてはいけない発言か。

「てか、早く行こうぜ。今日入学式だろ」

「そんなの知ってるよ。だりぃんだよなぁ」

白亜とならんで廊下を歩いている時、一人の女子とすれ違った。

「!?」

俺は一度、後ろを振り向いて相手を確認してしまった。

「李句?どした?」

「ぁあ。。なんでもない」

なんでもないのに振り向くはずがない。
フワフワした髪を揺らしながら歩いて行く彼女は
なんというか、天使みたいだった。