「もう時間、ライブ始まっちゃうよ。」 沈黙の中、俺がその沈黙を破った。 「あ、はい。行きましょう。」 紗耶香ちゃんの眼には、さっきの雰囲気はほとんど残っておらず、微笑んでいて、俺は少しだけ、ほっとした。 ライブは、かなりの盛り上がりを見せた。 だけど、心なしか紗耶香ちゃんは本気で楽しんでいるようには見えなかった。