園子の言うことは、間違いない。

相手は財閥の御曹司で、自分は一般家庭で育った娘だ。

もう少し言うなら、庶民だ。

「こっちが1人雇ったとしても、あっちは10人や20人は雇うかも知れないわ」

園子が言いたいこと――それは、勝ち目がないと言うことである。

相手が相手だから、勝てる確率はゼロだ。

「そんなあ…」

千広はガックリとうなだれた。

その様子は、電話越しの園子にもよく伝わった。

困っている友人を助けるため、園子は何か方法がないかと思案する。

思案した末、思い出した。

「他の人と結婚させるって、手は?」