砂野の行動には感謝している。

(周陽平のことを調べてくれたうえに、彼行きつけのクラブのホステスから携帯の電話番号を聞いてくれるなんて!)

嬉しい限りである。

周陽平と話をして、ことを終わらせられると思うと明日死んでも構わない…いや、死んだら困る。

「ありがとうございます」

頭を下げて礼を述べた千広に、
「相変わらず、礼儀正しい」

砂野は笑った。


テーブルのうえに置いてある携帯電話が鳴った。

ディスプレイを見ると、知らない番号が映っていた。

「誰だ?」

陽平は呟くと、耳に携帯電話を当てた。

「もしもし?」

電話口から聞こえたのは、
「――周陽平さんですか?」

女の声――女の子の方が表現的には正解かも知れない――だった。

「誰だ、お前?」